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規制改革・民間開放の推進のための重点検討事項に関する中間答申(外国人分野)

以下の要旨等は斎二幸一が独自にまとめたものです。詳細を調べる場合等は原文を参照して下さい。
尚、数字は漢数字は算用数字に、「,」は「、」に直して読みやすくしてあります。
平成18年8月1日公開 原文PDFファイル
 
4 外国人分野

【問題意識】


 平成17 年に日本人の出生数が死亡数を下回り、人口が自然減に転じたことが人口動
態統計を通じて明らかとなった状況にあって、合計特殊出生率は前年より0.04 ポイン
ト下落して1.25 と過去最低となった一方、海外在留邦人の数は戦後統計史上初めて
100 万人を突破し、外国人登録者の総数は前年比+1.9%・約3万7千人増加して201
万人を超えた。女性や高齢者の活用を主因として、平成9年以来8年振りに労働力人
口が増加したとはいえ、国内民間需要やアジア各国との活発な輸出入等に支えられた
景気回復が当面続くと見込まれる中、我が国における外国人の受入れの在り方に係る
議論は産業界等のみならず、政府部内でも、当会議だけでなく、法務副大臣「今後の
外国人の受入れ等に関するプロジェクト」や副大臣会議「外国人労働者問題に関する
プロジェクトチーム」といった場でも行われ、それぞれ考え方がとりまとめられた。
また、政府部内には生活者としての外国人に着目した動きも見られ、内閣官房「外
国人労働者問題関係省庁連絡会議」においては中間整理が行われ、総務省からも「多
文化共生の推進に関する研究会」の報告書(平成18 年3月)を受けた通知「地域にお
ける多文化共生推進プランについて」(平成18 年3月27 日総行国第79 号)が都道府
県・政令指定都市宛て発出されるなどの取組が進んでいる。地方自治法(昭和22 年4
月17 日法律第67 号)第10 条第2項による「住民は、法律の定めるところにより、そ
の属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分
任する義務を負う」との規定を外国人住民にとっても更に実効性あるものとするため、
地方公共団体の外国人関連政策を出入国管理政策と並ぶ第2の柱として位置付け、政
府と地方公共団体が一体となって外国人の権利の保障と義務の履行を進めることがで
きるよう、新たな具体的施策が求められるところである。
 一方で、高度人材と呼ばれる優秀な人材を巡る国際的な競争の激化が指摘される中、
世界経済フォーラムによる「The Global Competitiveness Report 2005-2006」におい
て、我が国は外国人労働者の雇用しやすさとの項目で調査対象117 か国中79 位との評
価にとどまる状況にある。実際、出入国管理及び難民認定法(昭和26 年10 月4日政
令第319号)により我が国での就労が可能と規定される16の在留資格のうち、「芸術」、
「報道」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」における外国人登録者数は微増もしく
は減少といった傾向が続くほか、平成16 年に外国人登録者ベースで13 万人に迫るま
でに至った留学生が、卒業・修了後の就職を目的とする在留資格変更を許可された件
数は過去最高を記録したものの5,264 件に止まっている。
このような状況を踏まえ、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成
18 年7月7日閣議決定)においては、「優れた外国人研究者・技術者等の高度人材の
受入れ拡大に加え、現在専門的・技術的と評価されていない分野の受入れについて、
その問題点にも留意しつつ検討する。研修・技能実習制度の見直し、在留管理の強化
を図る。」とされた。
 当会議としては、この度の答申を公表するに当たり、経済財政諮問会議による「グ
ローバル戦略」(平成18 年5月18 日公表)も念頭に置き、「規制改革・民間開放推進
3か年計画(再改定)」(平成18 年3月31 日閣議決定)において今年度中に結論を得
ることとされている在留外国人の入国後のチェック体制の強化を確実なものとする一
方で、当面受入れを促進すべき高度人材に係る範囲・要件・手続の緩和等について示
しながら、今後受入れ範囲を拡大すべき分野を提示することとする。また、規制改革・
民間開放の推進に関する第2次答申(平成17 年12 月21 日)において今後の課題とし
て掲げた『現在は専門的・技術的分野と評価されていない分野における外国人労働者
の受入れ』についても、当会議の最終答申までの間、継続して検討を行っていく。


具体的施策】

(1)在留外国人の入国後のチェック体制の強化【平成18 年度結論】

 「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」において本件につき閣議決定され
た事項と合わせて、以下の事項についても検討し、結論を得るべきである。

@ 在留資格の変更、及び在留期間の更新に係る要件の追加等
現行法令下における在留管理制度の1つである出入国管理及び難民認定法に基づ
く在留資格の変更の許可、もしくは在留期間の更新の許可を外国人が得るためには、
変更、あるいは更新を適当と認めるに足る相当の理由があるときに限るとされる。
相当の理由があるか否かの判断は専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられ、申請者の
在留の状況、在留の必要性、相当性等を総合的に勘案して、認めるに足りるか否か
を判断するとされる。
 一方、外国人の在留期間の長期化、定着化傾向が進む中で生じている事象を鑑み
るに、受け入れた外国人及びその家族の人権や文化的・社会的背景に配慮しつつ、
我が国の経済・社会で生活する上での権利を認めるとともに義務を果たさせること
について、個別・具体的に対応することがますます重要になってきていると考えら
れる。
 したがって、当初の上陸許可から一定の期間が経過した後に申請される在留資格
の変更、及び在留期間の更新の許可においては、法務大臣の自由な裁量を認めつつ
も、出入国管理及び難民認定法第22 条、及び「永住許可に関するガイドライン」(平
成18 年3月31 日法務省入国管理局公表)に倣って、「素行が善良であること」及び
「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、かつ「その者の永住が日
本国の利益に合する」との要件を考慮することを検討し、結論を得るべきである。
なお、要件の要素とする事項としては、出入国管理行政の透明性の向上に加え、
各市区町村が提供する福祉・教育等の行政サービスの向上や市区町村窓口事務の円
滑化の観点から、(@)国税の納付状況、(A)地方税の納付状況、(B)社会保険の
加入状況、(C)雇用・労働条件、(D)(家族が同時に滞在している場合には)子弟
の就学状況、(E)(在留資格の特性に応じ)日本語能力等を出入国管理関係法令・
告示・ガイドライン等において明示的に表記することが考えられるが、列挙した事
項を外形的に利用することについては、徴収猶予等の付随する状況を慎重に判断し
て運用することにも留意して検討を行うべきである。
 特に、(D)子弟の就学状況に関しては、我が国に居住する外国人児童・生徒の保
護者には日本国憲法第26 条の規定が適用されないとされる中、経済的、社会的及び
文化的権利に関する国際規約(A規約)(昭和54 年8月4日条約第6号)第13 条は
外国人児童・生徒も対象として含むことから、同条が外国人児童・生徒の我が国に
おける教育の機会を保障していながら、その不就学の問題が指摘される状況にあっ
て、不就学外国人児童生徒支援事業のほか、どのような場合に在留資格の変更、及
び在留期間の更新に係る要件を充足したと認めるかどうかといった点だけでなく、
外国人児童・生徒に学習の機会を確保する方策について、関係者のコスト負担のあ
り方にも留意しつつ、幅広く検討を行うべきである。(E)の日本語能力に関しても、
我が国においては各地の国際交流協会等が中心となって日本語教育機会を提供する
現状にあって、地域日本語教育支援事業、JSLカリキュラム(日本語を第2言語
として学習するカリキュラム)の開発に加え、我が国の受入れ機関の関与の在り方、
送出し国における態勢の構築支援など、同様に幅広く検討すべきである。
また、例示した諸情報は、外国人本人に書類の提出を求めることによる既存の制
度で取得しうる情報を有効に活用しつつ、国の機関同士、及び国の機関と地方公共
団体との間での共用が可能なデータベースを合理的な範囲で構築した上での融通等、
我が国における外国人の権利の保護及び義務の履行に係る情報を効果的かつ効率的
に収集する方法の在り方に絡めて結論を得るべきである。

A 永住許可を得た外国人に対する在留管理の在り方等
在留資格「永住者」は他の資格と異なり、一度許可を受ければ退去強制事由に該
当しない限り我が国に引き続いて在留することが可能である。以降は在留期間の更
新手続が原則として不要になるという意味では、出入国管理及び難民認定法が外国
人に認める最も安定的な法的地位である。
その安定的な効果は同法第22 条第2項が規定する「素行が善良であること」及び
「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、かつ「その者の永住が日
本国の利益に合する」との要件に支えられていると考えられるが、「永住者」が在留
管理上の規制を受けないとの現状は、在留期間に制限のあるその他の在留資格を得
た者や国籍法(昭和25 年5月4日法律第147 号)により帰化の許可を得て我が国の
国籍を得た者に係る権利・義務関係との間で合理的に均衡しているかどうかといっ
た観点より、一定期間ごとに在留状況をチェックし、在留実績がない者等に対して
入国・在留管理上の規制を行うことの要否を検討し、結論を得るべきである。

(2)専門的・技術的分野の外国人労働者の範囲・要件の見直し

@ 外国人社会福祉士・介護福祉士の就労制限の緩和【平成18 年度検討、結論】

現在、外国人が社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62 年5月26 日法律第30 号)
に基づいて我が国の社会福祉士・介護福祉士の国家資格を取得しても、出入国管理
及び難民認定法にはその資格を有していることのみを要件として認められる在留資
格は規定されておらず、例えば、留学生として我が国の大学の福祉系学部を卒業し
た外国人が在留資格「人文知識・国際業務」を得て就労が認められる場合があると
の実態にとどまる。この他、介護福祉士の受入れに関しては、フィリピンとのEP
A(Economic Partnership Agreement:経済連携協定)交渉において、介護福祉士
国家試験受験コースでは『フィリピンの介護士研修修了+4年制大学卒業』又は『看
護大学卒業』を要件とする候補者を、介護福祉士養成施設コースでは『4年制大学
卒業』を要件とする候補者を、それぞれ在留資格「特定活動」で我が国に入国・在
留させて日本語研修を実施することに加え、前者については介護研修・就労・国家
試験受験、後者については養成コース受講・国家資格取得の便宜を図ることで大筋
合意している。
 高齢化の進展に伴い、介護分野は労働力需要が高まると予想されることから、サ
ービスレベルを充実させる質の高い人的資源を確保する観点より、また、留学生の
我が国での就職を支援する観点より、産業及び国民生活に与える影響その他の事情
を勘案しつつ、外国人社会福祉士・介護福祉士の受入れを検討し、結論を得るべき
である。
 なお、外国人社会福祉士・介護福祉士を受け入れることとする場合には、その方
策として「専門的・技術的分野に追加」、「新たな受入れ制度の創設」といったこと
が考えられるが、前者については「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」
において既に定められている「『技術』、『人文知識・国際業務」の要件緩和」との事
項にて掲げた、「客観的に技術、技能レベルを評価しうる資格制度等を通じて現状と
同等の専門性、技術性を確保しつつ、学歴・実務経験要件を緩和することが可能と
された分野については随時措置する」との観点も踏まえつつ検討を行うべきである。

A 在留資格「企業内転勤」における範囲等の見直し【平成18 年度検討、結論】
ア 受入れ範囲の拡大
出入国管理及び難民認定法が外国人に我が国での就労を認める在留資格の1
つである「企業内転勤」は、本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関
が外国に有する事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤し、当該
事業所において、在留資格「技術」または「人文知識・国際業務」の項に掲げら
れた活動を行うものとされる。
 一方で、いわゆる多国籍企業の我が国における活動は、本店所在地が我が国で
あると外国であるとを問わず多様なものとなっており、「技術」及び「人文知識・
国際業務」に掲げられた内容に止まらない現状にあると考えられることに加え、
在留資格「企業内転勤」を得て入国する外国人の数は平成16 年で3,550 人と、
アメリカやイギリスなど対内直接投資残高の多い国との比較において少ないこ
とから、当該資格に係る規制、及びその運用の改善は対内直接投資を促進する側
面を有するとも考えられる。
 したがって、「対日直接投資促進策の推進について」(平成15 年3月27 日及び
平成18 年6月20 日対日投資会議決定)において示された、雇用・生活環境の整
備の一環として外国人の入国、在留制度を改善して対日直接投資残高の増加に寄
与させるとの観点、さらに「『科学技術に関する基本政策について』に対する答申」
(平成17 年12 月27 日)において示された、優れた外国人研究者の招へい・登用
を促進するとの観点も踏まえつつ、例えば、企業内転勤の形態で、本邦の事業所
において在留資格「研究」の活動に従事する場合には、在留資格「研究」に係る
現行の要件を満たしていない場合においても、入国・在留が可能となるよう検討
し、結論を得るべきである。

イ 優良な企業向けの申請手続の緩和
アと同様の観点から、「企業内転勤」資格について、「優良な企業等からの在留
資格認定証明書交付申請に係る審査の迅速化・簡素化について」(平成16 年3月
4日法務省管在第1322 号通達)によって既に措置されている便宜を周知徹底して
実効性を高め、該当する査証の発給、ひいては在留許可を得るための申請手続に
ついても合わせて緩和を図るべきである。
例えば、(@)我が国に事業所があり、少なくとも1年以上事業を継続している、
(A)国内外に3か所以上の支店、子会社、関連会社を有している、(B)過去1
年以内に「企業内転勤」資格を得た外国人が10 名以上我が国に在留している、(C)
我が国での売上(子会社、関連会社などを合わせた金額)が3,000 万円以上ある、
または我が国で1,000 人以上を雇用している といった要件を充たす多国籍企業
で、過去数年間にわたり不許可となった事例がなく、また、受け入れた外国人に
ついて発生した事故がなく、個別に制度濫用の恐れがないと判断される優良な企
業には次の措置を講じてその国際的な事業の円滑化を図ることを検討し、結論を
得るべきである。
 「出入国管理及び難民認定法施行規則」(昭和56 年10 月28 日法務省令第54
号)別表第3が規定する「外国の事業所と本邦の事業所の関係を示す文書」、「本
邦の事業所の登記事項証明書、損益計算書の写し及び事業内容を明らかにする資
料」、「外国の事業所における職務内容及び勤務期間を証する文書」、「外国の事業
所の登記事項証明書及びその概要を明らかにする資料」の提出について、特段の
変更がない限りは新たに求めないなど、許可若しくは不許可に至るまでに要する
手間と時間を軽減する。